H&Mがリセール会社を買収 2次流通市場に本格参入

H&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ以下、H&M)は、地元スウェーデンのリセールプラットフォーム、セルピー(SELLPY)の株式70%程度を1300万ドル(約13億円)で買収した。今後さらに600万ドル(約6億3600万円)を投資し、持ち分を74%まで増やすという。H&Mは2015年に500万ドル(約5億3000万円)を投じてセルピーの少数株主となっており、19年4月には傘下の「アンド アザー ストーリーズ(& OTHER STORIES)」がセルピーと提携して自社ブランドの中古品販売に乗り出していた。

セルピーは14年に設立されたスタートアップ企業。不要なアパレル用品や雑貨などを売りたい顧客にバッグを送り、それを回収してオンラインで販売し、売り上げの40%を手数料として得ている。17年には売上高がおよそ1080万ドル(約11億円)に達するなど大きな成功を収めているが、現在はスウェーデン国内のみで事業を展開している。H&Mはこれを国外にも拡大していきたい考えで、まずはドイツ市場への進出を目指す。

H&Mが擁する投資会社、コーラブ(CO:LAB)を率いるナナ・アンダーセン(Nanna Andersen)は、「セルピーは独自の循環型ビジネスモデルを構築しており、完全循環型経済の実現を掲げているH&Mグループのビジョンとマッチする」と語った。H&Mは、「中古品販売はファッション業界でも急激に成長している分野の一つ。当グループとしても進出したいと考えていた分野であり、ビジネスチャンスがあると思う」とコメントを発表した。

マイケル・アノール(Michael Annor)=セルピー最高経営責任者は、「H&Mグループのサポートを受けて今後もいっそうイノベーションを続け、リセールの重要性を広めつつ事業を発展させていきたい」と述べた。

ここ数年、環境問題に対する意識の高まりから消費動向にも変化が起きており、2次流通市場が大きく成長している。使い捨てのイメージが強いファストファッションは批判を受けることも多く、H&Mをはじめ、「ザラ(ZARA)」を擁するインディテックス(INDITEX)などもサステイナビリティーの実現に取り組んでいる。