スニーカー芸人随一の情報屋、グッドウォーキン上田 「“何を履くか”よりも“どう履くか”」

今や「アメトーーク!」(テレビ朝日)で「スニーカー芸人」(2018年11月15日)が放送されるほど、世間に浸透してきた“スニーカー芸人”。その「スニーカー芸人」にも出演し、圧倒的な知識量から他の出演者に頼られ、放送後インスタグラムのフォロワーが4倍になったのが、お笑い芸人グッドウォーキンの上田歩武だ。「吉本の社員さんよりも、ファッション業界の方々の方が僕のことを知っていると思います」と、スニーカー芸人の他に刺しゅう芸人としてファッション業界でも活躍する上田に、スニーカー愛はもちろん、転売市場から流行のその先、お気入りのスニーカーを聞いた。

25年前の中学生のとき、「SLAM DUNK」(1990〜96年)が流行り、バルセロナオリンピック(92年)が開催され(編集部注:同大会は、バスケ大国・アメリカが威信をかけ、NBA選手の参加を初めて認めたことから世界中がバスケに注目していた)、“エア マックス 95(AIR MAX 95)”のブームがあり、好きになるのは自然な流れでした。それに生活の大半が制服なんで、靴と鞄でおしゃれをアピールしなきゃいけなかったのも大きいです。でも住んでた町には専門店なんてなく、あってもスポーツ量販店。古着屋は1軒しかなくて、シンプルにスニーカーが手に入りにくい環境でした。古着屋に並ぶ“ジョーダン”を憧れて見る少年時代でしたね。サッカー部のくせにバッシュが気になるからって「月刊バスケットボール」を読みまくったり、藤原ヒロシさん、NIGO(R)さん、高橋盾さんの「ASAYAN」での連載を穴があくほど読んでたりしたのはいい思い出です(笑)。

「アディダス(ADIDAS)」の“スーパースター(SUPERSTAR)”です。雑誌で見ていたフランス製の少し黄ばんでいるモデルが欲しかったんですが、金銭的にも物理的にも手に入れることができず、現行モデルを買いました。でもやっぱり憧れて、サッカーするときに履いたり日焼けさせたりして黄ばみを表現しようと努力したんですが、洗うとキレイになってしまう葛藤でした……。集め始めたのは“エア ジョーダン”シリーズで、友達のお兄ちゃんから履けないくらいボロボロの“エア ジョーダン 6”を5000円で買ったりしてましたね。

100足くらいで、実はそんなに持っていないんです。とにかく場所をとるので箱で積んでます。

具体的に言うのが難しいですが、買ってない月もあるくらいですね。毎週のように発売されているので、欲しいものを全て手に入れようとするとお金が追いつかず……もちろん情報としては仕入れます。購入方法は時と場合によりますが、過去には「お腹が痛い」ってバイトを早退して並んだこともあります。最低ですよね(笑)。

ハイテクやローテクなど、好きなジャンルがあれば。

「あのスニーカーが嫌い」みたいなのはなくて、オールジャンルいけます。ただ、ファッションのルーツが裏原とグランジロックってアメカジ寄りなので、持ってるものとしてはローテクの方が多いですね。

ロック好きでありながら、スニーカー好きは珍しいですね。

それがあったからオールジャンルいける雑食になったんだと思います。「アメトーーク!」の「スニーカー芸人」では言えなかったんですけど、収録中に履いていた「スプリングコート(SPRING COURT)」は、ジョン・レノン(John Lennon)が「Abbey Road」のジャケットで履いていたモデルなんです。「誰か気付いてくれ……!」って思いながら収録に臨んで、放送後のツイッターを見てました。

「スニーカー芸人」ではひな壇後方にいながら、圧倒的な知識量から他の出演者の方々に頼られるシーンが多く見られましたが、やはり一番詳しいのでしょうか?

自分で言うのもアレですけど、多分そうだと思います。僕はあまりTVに出ていないので芸能人という感覚は彼らよりないし、発言力も説得力もない。その中で知名度の低い僕がどうやったら戦えるかって、知識と情熱なんですよ。例えば何時間も並んで買うのは、知名度的にも時間的にも他の出演者の方たちだと難しと思いますが、僕ならできる(笑)。知識と情熱を武器に戦ってやる!って意気込んでましたね。そうは言っても、いざ始まると単純に面白かったです。他の番組では自己紹介で「“エア プレスト”(2000年発売)と同期です」なんて言えないですし、人生で初めて言いました(笑)。

出演者の方々が、みなさんハイブランドのスニーカーを履いていなかったのが印象的でした。

でもハイブランドがスニーカーを発表すること自体は楽しみです。「ディオール」のキム・ジョーンズ(Kim Jones)のようにストリートに影響を受けていた人たちが偉くなったことで、ハイブランドが90年代やストリートに寄ったんだと思います。今はダッドスニーカーばかりですが、その中でキム・ジョーンズは「コンバース」の“オールスター”みたいなモデルを発表してたり、次がどうなるのか想像できません。このハイブランドの流れとは逆に、今のストリートがどうなっていくかも気になっています。

今日は「オフ-ホワイト」と「ナイキ」の“ヴェイパーマックス(VAPORMAX)”を履かれていますが、インダストリアルタグを外していますね。

なんかいかにも履いてます感が出ちゃって……恥ずかしくて取りました(笑)。あと紐を通してないのと、今っぽくスキニーやトラックパンツに合わせるんじゃなく、太めの軍パンを合わせているのがこだわりです。“人と違うモノを履きたい・着たい・したい”のこじらせですね。そういうミスマッチ感が好きで、藤原ヒロシさんが「エルメス」のダッフルコートにボロボロの「リーバイス」の“501”をはいてたことがあったんですが、それがたまらなくて、先のジャーマントレーナーにジャージーを合わせたりしてました。

“人と違うモノを”は、スニーカーブームのレア物を狙う人と同じような心境ですね。

そうなんですが、僕はさらにそれを「みんな人気モデルを欲しがるなら人気のないモデルを買おう」みたいに斜めから見ることが多くて、最近だと「アディダス」の“サンバ(SAMBA)”がそれに当たります。

レア物といえば“転売問題”がついて回りますが、どう見ていますか?

昔からフリマでは元値の倍以上で売られていたように、転売自体はずっとあったことで、ネットやSNSの発達で明るみに出ただけなんですよね。一概に容認するわけではないですけど、“転売されてない”ものって、誰も求めてないから“売れてない”ってこと。僕自身も定価で買えなくて悔しながらもプレ値で買った経験もありますし、残念ながら転売と人気は表と裏の関係で仕方がないことなんです。だからこそ「プレ値で買えるくらい稼いでやろう」って、悪を倒すにはより凶悪になるしかないと思ってるところはあります(笑)。あと、二次流通市場を“全員のECサイト”って考えるようになってから気が楽にはなりました。昔だったら雑誌から取り扱い店舗を調べて電話して在庫を確認してって、1つ買うのも大変な作業量でしたけど、「あ、これ欲しい。買おう」みたいに簡単に探して買えるので。

対策は各ブランドさんやショップさんが試行錯誤し、SNSでの拡散だったりドレスコードを設けたりしていますが、僕は欲しい気持ちを400文字の作文にするような“情熱買い”を面白いので提案したいですね。ダサくても、田舎から来ても、ドレスコードを満たしてなくても、書いて情熱が伝われば買える。売る側もそんな人たちに履いてほしいと思います。でもこれをやったら代筆屋が生まれるだろうし……いたちごっこですね。

レア物の多くはコラボモデルで、最近はコラボが乱発されていますが。

僕はむしろウェルカムのスタンスです。ただ、僕は「ナイキ」と「アディダス」の“夢のタッグ”が見たいんです。「ドラゴンボール」の終盤、ライバル同士の悟空とベジータが手を組んだのはなぜか。それは超強力な魔人ブウが現れたから。裏を返せば魔人ブウがいたから手を組んだ。魔人ブウのように「ナイキ」と「アディダス」を脅かすようなブランドが出てきたら手を組むのかなって、大人の事情を抜きに思います(笑)。

本日はお気に入りの3足のスニーカーを持ってきていただきました。上田さん的視点でそれぞれについて語っていただければと思います。

中学校の頃の思い出も詰まった一足で、ランDMC(Run-D.M.C.)のイメージが強いですが、まず名前がかっこいいですよね。「あ、僕天才です」って言ってるようなもの。でも自らハードルを上げるだけある。デニムや古着にも合わせやすいところが気に入っています。本当はフランス製にこだわりたいんですけど、欲しいスニーカーの中でも優先順位があって、“スーパースター”はいつでも買える感があるのでずっと先延ばしにしてしまい……。それでも欲しい気持ちは変わらないので現行モデルを買いました(笑)。

90年代の裏原をけん引したお二方による、僕らの世代には本当にグッとくるモデルで、履き口の切りっぱなしのようなディテールだったり、トゥ部分の“UNDERCOVER”の文字だったりが最高ですね。ここで小話を1つ。高校生のときの修学旅行が東京だったんですけど、裏原に行くことは決めていたものの、裏原に洋服を買いに行くための洋服がなかったんです。そこで上田青年は何を思ったのか、修学旅行の1カ月前に東京に行くための洋服を買いに東京に行ったんです(笑)。しかも似合いもしない服を買ってしまいました……。

他の2足が過去を振り返るものなので、現代の1足として紹介したいモデルです。すでに感度が高い人は「ホカ オネオネ」を履いていますが、知らない人にこそ知ってほしいという思いを込めて選びました。とにかく履いたときのクッション性がえぐいです、布団です。ぜひ履いてみてください。

スニーカー好きにはコレクターも多いですが、上田さんは履きこまれるんですね。

スニーカーはあくまでもファッションの一部で、「このスニーカーを履いたら何を合わせよう」って“何を履いてるか”よりも“どう履いてるか”を大事にしています。かっこいいけど僕には似合わないと思うスニーカーは買わないーー“エア ジョーダン 11”とかがそうですね。

スニーカー芸人としての今後は?

ニッチな人から初心者まで、経歴なんて関係なしにスニーカーが好きな人たちと思いを共感したいので、地方にまで足を伸ばしてライブをやりたいですね。あとはファッション系のイベントに出演したいです。ファッション業界の方々の方が知識は深いかもしれませんが、われわれスニーカー芸人はそれを面白く伝えることができる。芸人なので!

ビンディングシューズのペダリングを無駄なく快適に

自転車専用に作られた「ビンディングシューズ」。シューズとペダルを固定することでスムーズに力が伝わり、効率的に走れるのが特長です。
そこで今回は自転車乗りにおすすめのビンディングシューズをピックアップ。特に上り坂でのサイクリングには効果を実感できるので、興味がある方はぜひ試してみてください。
ビンディングシューズは自転車での長距離・高速走行を可能にする目的で開発された画期的なシューズです。基本的には、ビンディングシューズとビンディング用のペダル、そしてクリートと呼ばれるシューズとペダルを固定する留め具の3つで構成されます。パーツには互換性があるモノとないモノがあるので、規格を合わせる必要がある点には注意しましょう。
ビンディングシューズのメリットは「早く走れる」「ペダリングの効率が上がり疲れにくい」「筋肉や関節への負担が減らせる」など。ロードバイクでの長距離走行やレース、マウンテンバイクの各種競技やロングトレイルはもちろん、通勤・通学の自転車にもビンディングシューズを履く方が増えています。
ビンディングシューズには、主に「SPD」と「SPD-SL」という2種類の規格があります。SPDは2つのネジ穴があり、そこにクリート(留め具)を固定してシューズと連結させて使用します。SPDは主にマウンテンバイク向けの規格で、着脱が簡単なので自転車を降りて普通に歩くことができ、初心者でも扱いやすいモデルです。
SPD-SLは3つのネジ穴にクリートを付けて使用するタイプ。SPDタイプよりも軽量なうえに、シューズがより強力にペダルに固定され高回転・高速走行が可能なロードバイク向けです。ただし、クリートが大きいため自転車を降りて歩くのは困難。街乗りには向いていません。
他にもビンディングシューズの人気ブランド「スピードプレイ」の強力な固定力が得られる4つ穴タイプなど、ブランドオリジナルの規格もあるので、参考にしてください。
次にビンディングシューズを選ぶ際に考慮すべきは、足に靴をしっかりとフィットさせるための留め具の種類です。大きく分けて4つあり、それぞれメリット・デメリットがあるので整理しておきましょう。
シューレース・紐タイプは普通のスニーカーと同様に紐で締め具合を調節するモデル。手軽かつ簡単にフィッティングができるので、はじめてのビンディングシューズにもおすすめです。
ベルクロタイプは、マジックテープ式で着脱が簡単。走行中にも脱げづらく安定感があるので、初心者の方にもおすすめです。
ラチェットタイプは、ベルクロに加えて足首に一番近い側にバックルが付いているモデル。しっかりと固定され足にフィットするので、本格的に自転車を楽しみたい方におすすめです。
ダイヤルタイプは、1つないし2つのダイヤルを回してより繊細なフィット感の調整が可能。自転車上級者向けのモデルです。
ビンディングシューズのおすすめ
ロードバイク用SPD-SLタイプのハイエンド向けビンディングシューズ。ソールとアッパーを一体構造にすることでペダルにダイレクトにパワーを伝えながら安定した走りを実現しています。
濡れても素早く乾く特殊素材で湿度をコントロール。軽くて耐久性にも優れています。長距離ロードレースを目指す方におすすめの最先端のビンディングシューズです。
シマノ(SHIMANO) ビンディングシューズ RP1 SPD-SL/SPD両対応
SPD-SLと2つ穴式のSPDの両方に対応するオールラウンドなビンディングシューズ。ペダルにシューズを固定する留め具「クリート」は3つ穴式を採用しています。長距離のロードからマウンテンパイク、クロスバイクでの通勤・通学にも対応。2つのストラップはマジックテープで簡単に着脱でき、快適なフィット感が得られます。
高い品質と快適性を備えながら価格は1万円程度と非常にリーズナブル。エントリーモデルとしてもおすすめのビンディングシューズです。
多くのプロライダーにも愛用者が多い「シディ」の定番ビンディングシューズ。日本人に多い幅広・甲高な足にもフィットするワイドタイプです。ストラップはしっかりと締まって緩みにくいベルクロ、足首に近いストラップには細やかな調整が簡単にできるキャリバーバックルを採用しています。レース中に走りながら調整できて便利。初心者からベテランまで満足できるハイスペックなシューズです。
フィジーク(FIZIK) ロードシューズ R1B UOMO 0317560045(R1MBC 1030 420)
イタリアのサイクルシューズ・ブランド「フィジーク」のフラッグシップモデル。繊細な調整が可能なダイヤル式の留め具システムは、足全体を包み込むような心地よいフィット感が得られます。また、土踏まずにピッタリとフィットするサポートシステムを採用しシューズと足の一体感が抜群です。
シリコンの滑り止めをカップ部分に使用しかかとのホールド性を高め、よりダイレクトにパワーをペダルに伝えることが可能になりました。長距離レースで入賞を目指す方におすすめの本格ビンディングシューズです。
ディーエムティー(DMT) 自転車用ビンディングシューズ WM1 ウィンターモデル
イタリアのバイクシューズブランド「DMT」のビンディングシューズです。アッパーとソールを1枚の布で成形する「袋縫い」という独自の技術を持ち、美しい曲線とまるで靴下を履いているかのように足を包み込む心地よさが特徴です。さらに、水に強く軽くて通気性に優れたマイクロファイバー素材を採用しています。
長距離ライドでも疲れずに、パワーを100%ペダリングに変換してくれる軽量で耐久性に優れたおすすめシューズです。
ジロ(GIRO) RUMBLE VR DRESS BLUE
トップライダーにも支持されるアメリカのブランド「ジロ」のビンディングシューズです。一見するとハイキングシューズのようなデザインではありますが、MTBやクロスバスイクなどに適したSPD式で走破性能を格段に向上させます。
シューレース式のため初心者でも簡単にフィッティング可能。ビブラムソールを採用し自転車を降りての歩行もできます。ちょっとしたトレイルライドや街乗りにもうってつけのおすすめモデルです。
ライターからヒトコト
ビンディングシューズは自転車の走りを格段に向上させてくれます。ただし、ビギナーはペダルとシューズの着脱がスムーズに行えるまで慣れが必要。信号で停止する際にシューズがうまく外れず転倒してしまう“立ちごけ”の危険があります。慣れるまでは十分に注意してください。あなたにぴったりなビンディングシューズを見つけて、ワンランク上の自転車生活を楽しんでみてはいかがでしょうか。